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気まぐれな女
 「浩介・・・・」


 「うん?」


 「裕美のこと本気なの?」

 
 「そうだけど。」


 「裕美はそうじゃないかもしれないのに?」


 「それでもいいと思うよ。」


 「マナはいやだな。そんなの・・・浩介が可哀想だよ」


 「ありがとう。心配してくれて、俺たちはこれでいいと思うよ」



私がいない間にこんな会話がされていた。
浩介は私のこと信用してくれていると思っていた。



 「マナ・・・・浩介の事・・・本気で好きなの・・・・・」


 「マナ・・・」


 「裕美は遊びなだけだよ。浩介の事。」


 「そうかな」

  
 「そうだよ。マナの事信用できない?」


 「そういう訳じゃないけど」


 「だったらマナの事信用して」


浩介の気持ちの中にもそんな事があったのかもしれない。



 「なぁ・・・・」


 「うん?」


 「マナがさぁ」


 「好きだって言われたの?」


 「あぁ・・・・それにお前が俺と遊びだと」


 「そう・・・違うよ。」


 「本当に違うんだな?」

 
 「違う・・・・・・・」


 「お前の事信用していいんだな?」


 「浩介はマナの事信用するんだ。私が違うって言っているのに」


 「そうじゃない。裕美は何にも言わないから判んないんだ。」


 「好きっていちいち言わないと駄目なの?」


 「言って欲しい」


 「そう・・・・判った。」


 「判ったって?」


 「浩介の事好きだったけど、もういい。」

 
 「ちょっと待て。もういいって」

 
 「マナの言葉で彼女の事疑う人なんか嫌い」

 
 「疑っていない。ただ、裕美の気持ちが判らないって言ってるんだ」


 「信じてくれているものだと思っていた。言葉に出さなくても浩介は判ってくれていると思っていた」


 「言葉に出してくれないと判らないこともあるんだ」


 「そうだね。」


 「裕美・・・・」


この時私の中でマナの笑い顔が浮かんだ。
マナはちゃんと言葉にしていう子だった。
私はあまり言葉に出していうのが下手だった。
浩介の事本気で好きだったのに。
それさえ言わなかった。
これが私とマナの違いだろうと思った。