バタン・・・・・


　『嘘・・・・泣いてなんかない。浩介なんか愛していない・・・・・違う・・・・・』


暫くしてから浩介から電話があった。


　「裕美？大丈夫？」


　「浩介。ごめん。大丈夫だよ」


　「お前・・・・俺のこと」

　　
　「違うよ。愛してないよ。違うよ・・・・・」


　「ごめん。ごめん。」


　「謝らないで、浩介が悪いんじゃない。」


　「でも・・・・裕美の事・・・・」


　「マナが何言ったか知らないけど、浩介は私よりマナの事信じたんだよね。それが答えだよ」


　「裕美・・・・」


　「ありがとう。浩介、楽しかった」



ほんの少しだけで良かった
言葉に出して言えばよかった
「好き」という事は言えても「愛している」なんて言えなかった



　「それで終わったの？裕美」


　「そう・・・・終わったよ。浩介とは」


　「裕美のせいじゃないよ。」

　　
　「ありがとう麻美」

　
　「『愛せない』って」

　
　「そうね。何かが足りないんだろうね。私には」


　「判っているなら」

　
　「麻美・・・・あんただけだよ。」


　「今でも浩介さんの事忘れられない？」


　「そうね。何処がいいっていう訳じゃないけど、安心できたのかな。」


　「でも浩介さんは判んなかったんだ」


　「見せないからね。私が」

　
　「そうだよ。だからいいようにいわれちゃうんだよ『気まぐれな女』って」

　
　「いいたい奴には言わせて置けばいいよ。麻美みたいに判ってくれてる人が１人でも居ればいいよ」


　「だから駄目だっていうの」


　「麻美」

　
　「めちゃ弱いくせに、つよがんなくてもいいから、もっと素直になんなって。裕美はいい女だよ」

　
　「ありがとう。なんだか嬉しいな」


　「いいえ。」


　「さぁ。帰ろう」


　「うん」




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　完