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朝が来ない夜はない 2 第1章 9 
会社

 康「沙希・・・・」

 沙「うん?どうしたの?」

 康「何も力になれなくてごめん」

 沙「えっ・・・あぁ・・・・ありがとう。もう大丈夫だよ」

 康「そう・・ならいいんだけどね」

 沙「うん」

 由「から元気なくせして」

 沙「から元気じゃないよ。もう大丈夫だからね」

 由「本当に?」

 沙「うん」

 康「茂原さんもひどいよね」

 沙「康子」

 康「妊娠とか大丈夫なの?」

 沙「判んないな。それは」

 康「出来ていたらどうするの?」

 沙「そん時はそん時で考える。今は何にも考えたくないんだ」

 由「判った。康子、もう言うの辞めよ」

 康「うん」



一方 輝は自分がなんの感情も抱かないで沙希の事を抱いていた事を悔やんでいた

自分の身からでた錆とは言え、沙希の気持ちを踏みにじっていた事を悔やんでいた


 啓「どうした?輝」

 輝「啓佑か・・・・こないださぁ・・・恭平と話した時に恭平が中森さんと別れたら恭平じゃなくなるって『生きる屍』になるって」

 啓「恭平がそう言ったのか?」

 輝「あぁ・・・・それ聞いて今の俺自身だって気が付いて」

 啓「そうだな。俺もそうかもしれないな。初子と別れたらそうなるだろうな」

 輝「俺はどうすればいいんだろう」

 啓「少しずつでいいから『魂』入れてやれよ。自分に」
 
 輝「『魂』?」

 啓「そう・・・・難しいかもしれないけど」

 輝「沙希は俺に『魂』入れようとしたのかな」

 啓「そうかもしれないよ。でもお前がそれを拒否したんだから」

 輝「そっかぁ」

 啓「笑うとか・・・お前バカ笑いしたの見た事ないし」

 輝「そうだけ?」

 啓「そう。いつも冷めていたから」

 輝「そっか」

 啓「そのうち、皆でまた飲む機会作るか?」

 輝「皆って」

 啓「中森さんたちと」

 輝「それは・・・・不味いよ」

 啓「同僚として行くんだから別にいいんじゃん。そこからだよ、お前は」

 輝「啓佑・・・・・」


『魂』が入っていない者

『魂』を持っている者

『魂』は温かさ 優しさ 怒り 哀しさ 楽しさ
 
『魂』が入って人間になるのかもしれない